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ダニエラのジレンマ

いろいろな学問において有名な事例はいくつかありますが(ゲーム理論の「囚人のジレンマ」等)皆さん、サステナブルファッションにおける「ダニエラのジレンマ」はご存知でしょうか?

ダニエラのジレンマとは、サステナブルファッションブランドにとっては「売上を立てたい」気持ちと「無駄に消費してほしくない」気持ちがぶつかること、消費者にとっては「買い支えたい」けれど「買い過ぎたくない」気持ちがぶつかることをいいます。

(・・・といっても!これ私が前回のめぐるファッションラボ京都で話しながら勝手に命名したので、全世界でまだ20人位しか知らない言葉です笑 でもめぐる受講者の間でにわかに流行語になっていたのでここで発表。)

INHEELSでも何度か紹介しているポルトガルの多機能アパレルブランド、ELEMENTUM。そのデザイナーがダニエラ・パイス。ダニエラのジレンマというアイディアはINHEELS岡田とダニエラがベルリンの展示会に一緒に出展したときに生まれました。

ダニエラの服は、どこから腕や首を通すかや着る方向によってドレスになったりトップスになったりする多機能アパレル。1着で2−3着分は着られる優れものです。このアイテムを通じてダニエラは、異なるシルエットを楽しみつつ少ないアイテム数で暮らしていけるという提案をしています。クローゼットがパンパンになるほど服持つ必要ってないよね?という、今の大量消費社会へのアンチテーゼ。

さて、ベルリンの展示会。バイヤーさん向けの展示会では新たな取引先と知り合う他、既存の取引先に新シーズンのお披露目をします。展示会は出展するにも何十万円単位でお金がかかるので、私達のような小さいブランドはそれはもう必死です。ブランドの存続のため、既存の取引先さんには毎回オーダーを「つけて」(オーダーしてもらうという意味です)もらうことが大切になってきます。

ダニエラのブースを訪れたドイツの小さな町の卸先ブティック(既に何年か取引している既存取引先)のバイヤーさん、コレクションを見るには見るのですがちょっと渋い顔・・・。

「お客様には人気なの。でももうみんな1−2着は持ってるから、それでいろいろ着回しできて満足しちゃって大丈夫だって言うのよ」

あら。びみょーすぎるコメント。

ダニエラもびみょーな顔で、「ってことは、たくさんのモノを持たなくてシンプルに暮らすっていうコンセプトがちゃんと機能してるのね。(でも売りたい)」

沢山作って沢山何度も買ってもらう、なんなら存在しないニーズまで造り出すのがメインストリームの商売。普通のアパレルの世界の人から見たら「沢山買わないでください」って提案をするなんてそもそも馬鹿げているのかもしれません。でもこれからは少ないものでシンプルに暮らせるはず、そしてそれを提案するブランドが財政的に続いていけるはずと信じて、わたしたちはどこかにあるはずの均衡を探す日々・・・。

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ちなみにこの展示会の後、ダニエラはもちろんこのジレンマから抜け出す策をばんばん打ってます。(もちろんそのひとつがINHEELSとのコラボレーション!)

ちなみにその2、勝手に「ダニエラのジレンマ」と名付けたことをダニエラは知りません。いつ言おう。

岡田